退院したから言ってしまおう

やっと退院。うれしい。やっぱり、一ヶ月も赤の他人と同じ部屋で寝食を共にするというのは、精神的に疲れる。家に帰って、静かな自分の部屋で思う存分寝られるというのは幸せだわ。

二週間という予定で入院したあと、だらだらだらだら延びて、結局一ヶ月。この「だらだら」が辛かった。一ヶ月なら一ヶ月という予定で入院するのなら、それなりに準備もするのだけど、あと少しで帰れる→検査結果が悪くて帰れない。という状況が何度も続いてしまって、すごく疲れた。

後半はもう、同室のおばさんたちのおしゃべりに腹が立ったり(おばさんは声が大きいのだ)、必要以上にいろんなことを聞かれたくないのだけど、それでも適度に仲良くやらなければいけないので気を使ってしまったり、夜は夜でイビキや物音や看護師さんの懐中電灯と足音で寝つけなかったり、治療が楽な分、精神面でとても辛かった。たまに来てくれる友人たちとのおしゃべりにとても救われたのだった。

他の病院のことはよくわからないのだけど、どうやら私がいた6人部屋はとても狭いらしい。本当なら4人部屋くらいかも。隣の人の物音がとても気になる。しかも、おばさんという人種はおしゃべりがなくては生きていけないらしく、自分の人生や病気についても語り、人のことについても知りたがり、面会に誰が来たかもチェックしている。チェックしてもいいのだけど、それについてしゃべらないでほしい。

病室というのはただでさえプライバシーがないのだ。看護師さんが毎日、聞いてゆくから、部屋の人たちのお通じの様子から病状から治療の進み具合まですべて分かってしまう。一応、看護師さんやお医者さんには守秘義務というのがあるのだけど、それでも大きな声でしゃべってれば病名も病状も手に取るように分かってしまうのだ。患者さんには守秘義務なんてないから、これは結構恐い。実際、なぜだか他の病室の患者さんについてまでよく知っている人がいて、あの人はどこが悪いとか、あの人はもう危ないらしいとか、あの人の職業はなんだとか、家族はどうだとか、細部にいたるまで事細かに説明したりしている。これ、自分がやられたらすごく嫌だ。自分で話す分にはいいけれど、人の口から噂として流れるのって辛い。

入院患者は暇だから、世間話と称してこんな噂話をあちこちでしているのだ。もちろん、患者さんの噂だけではなく、お医者さんや看護師さんの噂もしている。あの人は気が利かないとか、あの先生は点滴の針を射すのが下手とか。それがもっともならまだいいのだけど、すごく一生懸命やっている看護師さんに対して、もっとこうすればいいのにねぇとか、あの人は言い方がきついからダメとか細部を指摘してダメだしをしているのを聞いた時にはなんだか非常に腹が立った。一見、言い方がきついような看護師さんはいるのだけど、でもちゃんと見ていれば極め細やかにお世話してくれているし、患者さんの話しもちゃんと聞いてくれているのだ。確かに、人間同士だから相性が合わないとかあまり好きじゃないとかそいういうのもあるかもしれないけれど、それは大人なんだから心にしまっておけばいいのに、わざわざ口に出して悪口を広めることはないのにと思ってしまう。聞いている方が気分が悪い。そしてまた、素直な人はそれを真に受けてさらに他の人にその悪口を広めたりしてしまっていて、これもまた辛かった。

まぁ、それもこれも病院という特殊な環境が多少は影響しているのかもしれない。聞いている私の方もストレスが溜まっているし、話している人も、病気だし治療の辛さもあるだろうし、ストレスも溜まっているだろう。カーテン一枚で仕切られた空間はとても危うい。このプライバシーのなさ、なんとかならないのだろうか。病院で過ごす暇な時間はそれほど持て余すこともなかったのだけど、最後は自分だけの空間や時間がないことがとても辛くて、早く家に帰りたくて仕方なかった。退院して家に帰ってきて本当にほっとした気分。まだしばらくは外にでれないのだけど、とりあえずは自分の時間を満喫しよう。

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