楽しい入院生活

検査結果はよくなっているのだけど、まだ正常値には及ばず、退院させてもらえない。今度の土日までには退院できるといいのだけど。

病院生活も一ヶ月。看護婦さんの顔と名前が一致するようになってしまった。病棟の看護婦さんは三交代制で代わる代わるいろんな人がやってくる。最初は随分いっぱい看護婦さんがいるんだなぁ、とあっけにとられてしまった。それが、最近は「あら、今日のわたしの担当は○○さんだわ」なんて分かるようになっちゃって、いいのか、悪いのか・・・。もともと長期入院するつもりだったならともかく、わたしは二週間のつもりで入院したので、ひとりひとりの名前まで覚えるつもりは毛頭なかった。けど、名札が大きいし、なんとなく覚えちゃった。そうなると、愛着が湧いて、退院するのもちょっと寂しいかな。

内科の病棟は男の人が多い。おじさんがウヨウヨ徘徊している。寝てばかりいないで、歩きなさい、というお医者さんからの指示が出ている患者さんもいて、散歩する場所の極端に少ない病院なので、そういう人は病棟の廊下を徘徊することになるのだ。最初、10日くらいは病室の一番廊下側のベッドにいたのだけど、ドアが開けっ放し(その方が看護婦さんたちの出入りが楽だから?)なので、常に外からおじさんに覗かれている感じがしてとても嫌だった。おばさんだったら平気なのかもしれないけどね。一応、入院患者の中では若い方だから・・・。内科は平均年令が高いから、二十代の人なんて私くらいしかいないみたい。窓際のベッドの人が退院したので、場所を移動してもらった。今は外の景色もよく見えて快適。

生活空間はベッドの上。ここがマイルーム。食事も睡眠も、着替えも全部一ケ所で済む。ものぐさな私にはぴったりかも。しかし、食事は別の場所で食べたいという気もちょっとする。

隣のおばさんはものすごいイビキをかくのだけど、自分では全く気付いていないらしい。新しく入ってきた人が「どなたかイビキをかかれる方がいて・・・」なんて言ったら、このイビキおばさんが、全然違う人の名前をあげて「ああ、○○さんが時々イビキかくのよ」というからびっくり。確かに○○さんもイビキをかくが、あんたほどじゃないぞ、と同室の誰もが思ったに違いない。本人の為にも早めに指摘してあげた方がいいと思うのだけど、誰もそれをいいだせないのだった。そしてイビキの一番の被害者はベッドが一番近い、私なのだった。起きてるときはいい人なんだけどねぇ。イビキがひどくて私が眠れなかった次の朝、看護婦さんに「昨日はあんまり眠れなかったわぁ」と言っているのを聞くと、ちょっと笑ってしまう。よく寝てたのに・・・。

4月なので、新人の看護婦さんも入ってきた。私の担当の看護婦さんについてやってくる。なんか初々しい。血圧がうまくはかれない姿も初々しい。しかし、もし、この子に採血されることになったら私は快く腕を差し出せるだろうか。ちょっと恐い。でもね、何ごとも経験だからね。ちょっとくらい痛くても、我慢してあげよう、と覚悟を決めることにした。次の採血はちょっとドキドキだわ。

そんなこんなで、病院もなかなか楽しいのだ。なにしろ、看護婦さんたちはみんな明るいし、元気。すごくよく働く。そして我慢強い。高齢だったり、重症だったりして、動作がのろくてもイライラしない。文句も言わない。おじさんたちに理不尽に怒られても黙って笑って耐える姿を見ると感動すらする。中には「薬飲まないからな」なんて言って言うこと利かないおじさんもいるのだ。なんの為に入院してるんだか。

あと少しで退院(たぶん)。入院なんてしない方がいいのだけど、してしまったからには日常生活とは違う面白いことをいっぱい発見して、病院生活を堪能しようっと。