賞に悶々◆『苦役列車』西村 賢太

http://www.amazon.co.jp/%E8%8B%A6%E5%BD%B9%E5%88%97%E8%BB%8A-%E8%A5%BF%E6%9D%91-%E8%B3%A2%E5%A4%AA/dp/4103032324%3FSubscriptionId%3D0VAWWSARBPKZT483PSR2%26tag%3Dakane-22%26linkCode%3Dxm2%26camp%3D2025%26creative%3D165953%26creativeASIN%3D4103032324

苦役列車

  • 西村 賢太(著) 
  • 新潮社
  • ¥ 1,260 [ハードカバー] 2011-01-26
  • ISBN:9784103032328 / ASIN:4103032324

表題の「苦役列車」は第144回芥川賞受賞作。先に新聞等でレビューをいくつも読んでいたので、読後感もほとんど違和感なし。社会の底辺で生きる主人公を描きながらユーモアがあり明るさが感じられる、云々。どこかで読んだような感想文しか書けなそうだ。

むしろ同時収録されている「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を興味深く読んだ。どちらも私小説のカテゴリーなのだろうが、「落ちぶれて…」は今現在の話。中卒であるということにコンプレックスを抱き、賞などというものに拘るのは「名声欲にかつえた乞食根性丸出しの下賤の者には違いない」などと分析し、悶々とする。しかし賞は欲しい。

芥川賞を受賞して時の人となった著者はいったい今、どんな心持ちなのだろうと思いつつ読んでしまう。この人の文章は、とても丁寧で繊細。ひとつひとつの言葉がすべて意味のあるもので、ぴたっとそこに収まっている感じがする。だから読んでいて気持ちがいい。内容はともかく。あるべきところにあるべき言葉がある、という感じなのだな。ライトノベルなどよりこういう小説のほうが好き。

Pocket