実在と架空の人物たち◆『蒼穹の昴』浅田 次郎

日中共同制作のテレビドラマを全話見た後に原作を読んだ。設定などがかなり変わっていて別モノという感じだけど、冷酷非道というイメージの西太后の母として女としての人間味のある部分にスポットを当てたストーリーは共通。

西太后や李鴻章、袁世凱など歴史上の実在の人物と、架空の登場人物がいり混ざって物語が進んでゆく。歴史に疎いので読んでいるときにはどれが実在の人物なのかわからなかったのだけど、今、Wikipediaで調べて、主要人物たちがみんな架空のキャラクターだったと知った。

一見華やかな清国の宮廷内の覇権争い。複雑な人間模様。宦官、科挙試験など独特の制度についても知らないことばかりでスリリングな展開についていくのが必死だった。

ヨーロッパ文学のカタカナ名の多い小説も読のが大変だけど、中国語読みのフリガナが振ってある漢字名の多い本書もかなり手こずってしまった。適当に読めばいいのだけども、似たような名前も多くて誰が誰だか分からなくなってしまうこともしばしば。結局最後まで混同したままだった登場人物も多い(と思う)。

なんとこの物語の続編もいくつか出版されているようなので、それも機会があれば読んでみたい。登場人物の名前には再び難儀しそうだけども。