利益よりも人◆『さんてつ: 日本鉄道旅行地図帳 三陸鉄道 大震災の記録』吉本 浩二

一世を風靡したNHKの朝ドラ「あまちゃん」に出てくる北三陸鉄道(きたてつ)のモデルとなった三陸鉄道の震災後の奮闘を描いたコミック作品。

東日本大震災で大きな被害を受けた三陸鉄道。その震災当日の様子や復興の様子が温かい視点で描かれている。当事者への取材を通して感じた、作者自身のとまどいまでもが伝わってきて、真摯な姿勢で描かれた作品だということがよくわかる。

震災から5日後には短い区間で徐行運転とはいえ運行を再開。しかも運賃はタダ。そこには、利益のためではなく、地元の人々のためにという思いがあった。あの震災のあとではあちこちでそういう思いは感じられたと思うのだけど、鉄道が走るというのは、とてもシンボリックなものだったのだろう。ニュースにも取り上げられていた。

しかし、あのニュースの裏に、こんなにもたくさんの思いがあったというのは、本を読んで初めて知ることだった。こういうものを作品として残すということも大事なことだと思う。この作品を読めてよかった。

「あまちゃん」にも出てきたけれど、走る列車に向かって人々が手を振るシーンがとても印象的。ドラマであの風景を見ていたから余計にイメージが湧いて、かなりじーんとしてしまった。

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