悲しみの電子書籍版◆『残酷な王と悲しみの王妃』中野 京子

内容はとてもよくて、中世ヨーロッパの王と王妃のエピソードがとてもわかりやすく面白く読めたのだけど、電子書籍版には図版や系図がまったく収録されていないというトンデモ本。絵画の解説本だというのに、なぜ図版がないのか、意味不明。仕方がないので、古本で紙版を買い直してしまった。

それにしても、わかりやすいとはいえ、ヨーロッパの貴族の系図は複雑で、同じような名前の人が何人もいて、まともに考えているとわけがわからなくなるので、あまり深く考えずにそのエピソードのみを楽しみながら読んだ。なので、読み終わった今となっては、どのエピソードがどの時代の誰の話なのか、…よくわからなくなっているところ。首を切られた王妃のなんと多いことか。

「怖い絵」シリーズに代表される中野京子さんの本、気になってはいるのだけど、他にはあまり電子書籍化されていなくて、(なので珍しく電子書籍で買えるこの本を買ったのだけど)電子書籍化されているものもこの調子では、期待できず。ちゃんと図版の入ったものを電子書籍にして欲しいなと思う次第。文庫では白黒で小さくしか収録できない図版も、電子書籍ならカラーで大きく載せることもできるのだから、決定版を出して欲しい。