それでも子育ては楽しい◆『生きづらいと思ったら 親子で発達障害でした』モンズースー

最近よく話題になる、大人の発達障害。なとなく人との関わり方が他人とは違うという違和感があったり、生きづらいと思っていたりするんだろうけど、家族も本人も障害だという認識がなく大人になってしまった人たち。だと思うけれど、人によってその程度も違うし、障害とまで言えなくても、そういう傾向がある人というのはいるんじゃないかと思う。この本の著者も、違和感を感じつつも折り合いをつけて仕事をしたり、結婚したりしているわけで、本人の工夫などで乗り切っている例はけっこうあるんだろうな(だからこそ、潜在的に一定数いるはずなのに出てこないの大人の発達障害が話題になっているのかも)。

障害という名前がつくことで、解決策が見えることも多いのだけど、この親子の場合、あちこち相談に行っても、なかなか必要な支援に結びついていないのがもどかしい。本人や家族が障害に偏見があったり、事態を軽く見たりして支援を求めない場合も多そうだけど、この本の著者は自分から積極的に相談に行っている印象。なのに、専門家のはずの相談相手が頼りにならない。この本をきっかけに、行政のほうもなにか改革をしてくれるといいと思う。

子どもの場合は、成長によって変化が激しいというのもあるのかもしれない。また、相談に行っても、子どもが成長してしまえばフォローできないので、相談役もその場で適当な返答をしたとしてもその後どうなったのかを知ることがなくて、データの積み重ねができてないのかもしれない。

本の内容は、コミックエッセイで読みやすく、必要以上に暗くなくて、発達障害についてもわかりやすい。現状で困っていることはたくさんあるのだろうけれど、自分のできる範囲で解決して、楽しく子育てしている様子が伝わってくる。同じような悩みを抱えている人には救いになるだろうし、そういう親子が周りにいる人には理解するための手助けになるんじゃないかな。まだお子さんが小さいので、これから小学校に入ったりすればまた別の問題も出てくるのかもしれないけれど、このまま楽しく乗り越えていって欲しい。