初めての能楽◆観世会定期能「二人静」「安達原」

観世会定期能 観世能楽堂 主催:観世会 「二人静」出演:片山清司、片山幽雪 「安達原」出演:観世恭秀

初めての能楽。ちょっと詳しい友人の引率だったため、知識ゼロでも楽しめた。

観た演目は「二人静」と「安達ヶ原」。「二人静」は題名だけ聞いたことがある程度。「安達ヶ原」は「黒塚」というタイトルでもお馴染み。鬼婆の話。

能は敷居が高そうだと思っていたけれど、案外そうでもなかった。でも、セリフは何を言っているのかわからないので、事前にストーリーをなんとなく知っているほうがいい。そして、途中で眠くなるのは仕方ないらしい。上演中に船を漕いでいる人も、結構いた。

能役者さんを描いた日本画を観たことがあるのだけど、まさに「二人静」の世界。これは絵に描きたくなるなぁ、と思いながら観た。すべての動作がゆっくりで、スローモーションのよう。カンカンと響く小鼓、大鼓の音が心地良い。まさに幽玄の世界。独特。

たしかに眠くなるんだけど、退屈かというとそうでもなくて、別世界のような不思議な感じだった。

「二人静」は静御前の霊が女性に取り憑いて舞を舞うというもので、取り憑いた霊(静御前)と取り憑かれた女性が同時に舞うところが見所。色違いの同じ衣装で舞う姿が美しい。

「安達ヶ原」は老婆に一夜の宿を求めた山伏たちが、主が安達ヶ原に住む鬼婆だと知って逃げ、それを追ってきた鬼婆は最後は山伏に調伏させられてしまうという話。鬼婆の悲哀が見所。これは比較的ストーリーに起伏があって、初心者向き。面白かった。

観世能楽堂も初めてだったのだけど、思っていたよりも席がゆったりしていて観やすかった。能舞台は左手に廊下のようなものがあって、右手に四角い舞台部分が飛び出ている。左右対称じゃないところが面白い。しかも手前の角に柱がばーんと立ってるし。んーむ。伝統芸能、奥深し。

■財団法人観世文庫/社団法人観世会 公式ウェブサイト