オクシタニア
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佐藤賢一さんの本は大抵一気読みしてしまうのだけど、この本はものすごく時間がかかってしまった。読み始めてから一年くらい経ってるかも。ハードカバーで二段組みでボリューム満点。主要な登場人物は三人なのだけど、時間や場所が飛ぶので最初はちょっとこんがらがってしまった。史実をもとにしているようだけど、まったく前知識がなかったので余計に。
しかしかなりダイナミックながら意外にシンプルな筋書きで、途中で数ヶ月間読むのをやめていても、大まかなストーリーは追えた。宗教を介した愛のものがたり。夫婦であった二人がそれぞれ対立する集団に属し、出会い、別れ、愛しながらも拒絶したり、最後はどうなるのかとハラハラしてしまった。
異端カタリ派や、アルビジョア十字軍などの歴史に詳しい人にはより楽しめると思う。宗教というものは、人を救うもののはずなのに、それが原因で争いが起こり、人々が苦しみ、大きな犠牲が出る。その矛盾はいったいなんなのだろうといつも思う。信仰にはまりこんでいる人にはそれが矛盾ではないのだろうな。