もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
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難しいことを小説に折り込んで読みやすく伝える、という手法の本はいままでもたくさんあったと思うんだけど、この本がブームになったのは、普通に小説として面白いということが大きいのではないかと思った。
あとは「ドラッカー」が時代に合っていたというのもあるかもしれないけれど。「ドラッカー」ブームが先なのか、この小説がブームに先鞭を付けたのか、そのあたりはよくわからない。印象としては「もしドラ」が出たことで一気に「ドラッカー」ブームがやって来たという感じがしているのだけど、実際はじわじわとドラッカーが注目されていてそこに「もしドラ」が出た、ということなのかもしれない。
私は良く知らなかったのだけど、ドラッカー自体はロングセラーなので、ブームとかそういうものでもなく、もともと知名度が高かったものが、広く一般にまで知れ渡った、ということなのかもしれない。
舞台が高校野球ということで、幅広い世代が読めるというのも大きい。高校生から、おじさん、おばさんまでが手にとって読めるし、甲子園を知っていれば野球のルールを知らなくても大丈夫。
ストーリー自体はドラッカーの本の内容紹介も絡んでくるので、少々できすぎではあるものの、ドラッカーの言葉をかみ砕いて実践して、弱かった野球部がさまざまな難題を克服しながらチームがまとまって強くなってゆく、という展開で最後まで一気に読める。
そんなにうまくいくもんか、とは思うものの、「ドラッカー」のその言葉をそう実践するか、と面白く読めた。ドラッカー読んでもどういうふうに自分の仕事に応用していくか、っていうのが大事なんだろ思うけれど、それができる人とできない人がいるんだろうな。
そういう意味では、高校野球という一見、畑違いのものでも考え方次第で応用が利くということが示されていて、やはりそこの部分がこの本が支持されてブームになった所以なのかもしれない。
マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則
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