歴史小説家の佐藤賢一氏による解説を読みながらフランス革命の主要人物たちの肖像画を見る。その人物の思想や行動と外見とのギャップ、またはいかにもという風貌。歴史小説を読みながら本書を開けば登場人物たちのイメージが湧いてくるかもしれない。
あまりにも多くの人々がかかわった革命。池田理代子さんの名作マンガ「ベルサイユのばら」程度の知識しかなかったので、解説を読んでも人数が多すぎてよくわからなかった。
巻末の人物相関図を見て、「ああ、これは日本でいうと幕末だな」と理解して、やっとなんとなく合点がいった。日本の幕末だって、あまりの登場人物の多さに、わけがわからなくなるのだから、フランス革命もしかり。日本なら薩摩、長州、土佐と出身藩によって派閥ができているところが、ジャコバン派、ジロンド派などに相当するのかも。
それぞれの人物に膨大な物語があるのだろうけれど、本書では大まかな流れだけが書かれている。美術をやっているものとしては、その肖像画が描かれた背景や描いた画家についての解説も欲しいところだったけれど、それをやってしまうと煩雑になってしまうのだろうし筆者の佐藤氏の専門外なのかもしれない。
とはいえ、歴史的に有名な絵画や、後世でも著名な画家ドラクロワにつていの記載はあり、楽しめた。