多発性筋炎(膠原病の一種)でステロイド剤を飲み続けていて、今後も辞められないと医者から宣告されている身としては、このタイトルに飛びついた。薬で体調がよくなっているならいいけれど、病気の症状を抑えつつも、反動の副作用がかなりキツイのだから、身体に負担がかかっていないわけがない。辞められるモノならとっと辞めたいのだ。
薬に頼って副作用に苦しみながらほそぼそと長生きするよりは、すぱっと辞めてぱぁっと元気に好きなことをして、コロっと死にたいと思うくらい。
著者は新潟大学大学院医学部教授。免疫なんとかっていう本をいっぱい出していて、その中の一冊が本書。この人の本が本屋に並んでいるのは知っていたけど、このタイトルじゃなかったら買ってなかっただろうなぁ。このタイトルを付けてくれてありがとう。
要約すると、ほぼすべて病気の原因はストレスであるということを科学的に証明して、患者さんの血液データに基づいてなるべく薬を使わずに治療を進める自律神経免疫療法を開発。成果をあげているらしい。
怪しい民間療法と違って、膨大なデータを取っている点などで信頼できそう。本書の内容も難しいところもあるけれど、一般人にもわかりやすく書いてある。変に分かり易すぎないところがなんとなく科学的な感じがしていい。
病気の原因は血液中の白血球のうちの顆粒球の比率の増加にあるらしい。交感神経が優位になると顆粒球が増加し、副交感神経が優位になるとリンパ球が増加する。このバランスが崩れるとさまざまな病気になる。ストレスや、薬の長期服用によって交感神経が刺激されて顆粒球は増加する。これを修復するためにはその原因となっているストレスを取り除いたり、薬を辞めたりすることが必要なのだそうだ。そして、それによって、リンパ球が増加して病気が治癒に向かうらしい。
薬はすべてが悪いわけではないけれど、ステロイド剤や免疫抑制剤、消炎鎮痛剤などは長期服用によって病気が難治化しやすいので、治療のための薬なのに逆効果になっているという。世の中の薬のほとんどは交感神経を刺激する作用があるので、顆粒球が増えて新たな病気を生み出す可能性が高い。病気を治そうとしているのに、薬によって新たな病気が発生し、余計に薬が増え…と悪循環。ますます健康とはほど遠くなるのだ。
そうでなくても、ステロイド剤を飲んでいると、胃が荒れるからと胃薬も一緒に処方され(しかも二種類)、今度は長期服用で骨粗鬆症になるからと予防的に骨粗鬆症の治療薬まで飲む羽目になっている。このままでは薬は増える一方。おおもとのステロイドが減らないとどうにもならない。
たとえば、頭痛がひどくてそのたびに痛み止めを使っていた人が、この薬を使わずにいると、ますますひどい痛みが襲うけれど、それは身体が病気と闘っている治癒反応というものらしい。なので、この痛みをやりすごせば、頭痛は治るという。痛みを一時的に抑えるために薬を使ってしまうと、いつまでも完全には治らず、しばらくするとまた頭痛に悩まされることになる。
私の場合、ステロイド剤をある程度まで減らすと、筋炎が再燃してしまう。過去に二回、それでまたステロイド剤を大量服用する羽目になった。この再燃も治癒反応なのだろうか。それをやりすごせば治るというのなら、痛みはガマンするのだけど。正直、筋炎の痛みよりもステロイドの大量服用による副作用のほうがキツイのだ。
「ステロイド剤の常用は、交感神経の緊張状態を作り、新たな病気を上乗せします。血圧が上がり、頻脈(脈拍が1分間に100回以上になること)になって不安感が増すようになります。交感神経の緊張によって副腎から分泌されるアドレナリンは、血糖値を上げる作用があるため糖尿病が発生します。顆粒球の組織破壊が進むと、体のあちこちの関節が破壊されて腰痛やひざ痛が生じ、全身で血流障害が進み、患者さんの手足は水のように冷たくなります。こうしてドミノ倒しのように症状がふえ、そのたびに降圧剤、精神安定剤、経口糖尿薬、消炎鎮痛剤が新たに加わり、患者さんは薬漬けから逃れられなくなります。」
この説明はとてもよくわかる。実際、ステロイド剤を飲み続けていると常に軽い興奮状態が続いている感じ。血流も悪くなって、身体中が浮腫んでいる。そして、そういう副作用を医者に訴えると、いとも簡単にシップ薬だの安定剤だの睡眠剤だの塗り薬だのその場しのぎの薬を処方されるのだ。そうじゃなくて、もっと生活に根ざしたアドバイスをしてもらいたいのに。例えば、どんな食べ物を食べた方がいいのかとか、睡眠はどのくらい取ったほうがいいのかとか、運動はどれくらいしたらいいのかとか。
もうね、自分ではどんなに副作用と闘っても、結局は諸悪の根元のステロイド剤を辞めないとどうにもならないと思っていたところだったので、この本を読んですごく納得。やっぱりそうだよね、という感じ。とにかく、血流改善に力を注いでみようと思った。身体を冷やさないようにして、栄養のあるものをいっぱい食べて、ストレスを溜めない生活を目指すのだ。