政治家としての資質を問う◆『女帝 小池百合子』石井 妙子

センセーショナルな内容でSNSでも話題になっていた本。読了してから時間が経ってしまったので内容の詳細は忘れてしまった部分も多いのだけど、テレビで見る小池百合子氏のイメージと、彼女の歩んできた道、そしてご本人の言動と実際の記録や周辺の人々の証言の不一致について、丹念な取材に基づいて描かれているノンフィクション。

小池氏自身、魅力的な人柄で華があって、テレビで見るイメージはとてもポジティブで仕事のできるオンナ。しかし、言動を追っていくと、時系列がおかしかったり、辻褄が合わない部分が多い。タレントとしてはいいのかもしれないけれど、政治家としての資質を疑うような事実の数々。

経歴詐称問題など、解明(解決)されていないものも多くて、本当にこの人でいいのか、と思える。そして、この本の内容を踏まえて、最近の都知事としての小池氏の動向を見ると、「ああ、なるほどね」と頷ける場面も多い。マスコミに対するアピール、キャッチフレーズ作りは上手く、わかりやすいのだけど、それに実行力が伴っていない。実際はなにもしていないのに、なんとなく、「やってる感」があって、なんかスゴイと思ってしまうのだった。

とはいえ、この本の衝撃度に対して、都民や世論の反応は鈍く、マスコミの取り上げ方も生ぬるく感じる。

(電子書籍で読了)