堂々たる政治 (新潮新書)
|
著者の与謝野馨氏が総裁選に立候補したので、読んでみた。もともと、この方には興味があって、至極真っ当なことを言う政治家だと思っていたのだった。
政治家っていうのは、理想を持っていて、正直でないとだめだと思う。そういう意味で、与謝野さんはとても魅力的な政治家。人間性にも惹かれる。その政治的な考え方なんかは、素人の私にはわからないけれど、言っていることはとても分かりやすくて、真っ当。共感できる分が多い。しかし、それを実行して、その予想どおりの展開になるかどうかは…なぞ。
どうも、この方は人を見る目があるような気がするので、総理総裁というよりは、調整役的な色合いが強い官房長官などのほうが向いているような気がする。福田総理もそうなんだけど。
帯に書いてある、「耳障りなことを言う。それが私の仕事である。」というのは本書の内容をうまく言い当てている。親は愛情を持って子を叱る。耳障りのいいことばかり言う人は信用できない。与謝野さんは、厳しいことも正直に言う。だから信用できると思う。
咽頭ガンの手術をして、体調面が心配だったけれども、手術できれいに取って、いま、健康面での不安はないようだ。放射線や抗がん剤治療もしなかったらしい。そして、大病を経験したことで、弱者の視点というものを持っているはず。これは、頼もしい。
与謝野鉄幹、晶子夫妻の孫。父は外交官で海外経験も豊富。東大を卒業して会社員も経験している。選挙には3回落選。9回当選。節目、節目でさまざまな挫折を経験している。(実際はどうか知らないが)安倍前首相のように、エリート街道まっしぐら、というタイプではない。そういうところに、親近感も持てる。
物理学の本が好きだそうだが、読書家のようである。囲碁と麻雀が好き。麻雀では同じ人と何度やっても仲良くならないが、囲碁だと一度で仲良くなれると言う。囲碁の打ち方で、人と為りがわかるのだそうだ。なんとなく、共感。碁の打ち筋というのは言葉よりも雄弁なのかもしれない。