ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)
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「ウェブ進化論」をはじめとする梅田望夫さんの著書は共感するところも多くて、読んだ後になんだかちょっとポジティブな気分になるところがいい。
楽観論じゃないかと思うところもあるけれど、それでも、やってみなけりゃ分からないじゃないか、やらないよりやったほうがいいんじゃない? っていう私の持論とも合致。やってみてだめならそこをみんなで直していけばいいのよ。ウェブ世界を否定する前に、どんな風に発展してゆくのか見てみようよって思う。
梅田さんもウェブが万能だとは言っていない。リアル世界で生きにくい人が、ウェブ世界で活き活きとできる可能性、ということを指摘している。リアル世界でうまくやって行けている人は無理にウェブ世界に入らなくてもいいのだ。ただ、ウェブを全否定しないで欲しい。ウェブ世界でしか生きられない人も、いる。ま、そういう人って、どうなの? っていう意見もあるだろうけど。サイバーな世界でしか生きられない人っていうと、なんとなく地に足着いてないんじゃないかっていう気もするけれど、いままでリアル社会からこぼれ落ちていた人たちが活躍する場を持てたってことは、いいことなんじゃないかなぁ。リアル世界で地位や名誉を気付いていて“地に足着いた生活”をしている人から見たら、宇宙人のような存在なのかもしれないけれど。
タイトルをよく読めば分かっただろうけれど、「ウェブ進化論」の続編くらいに思って読み始めたので想像とちょっと違う内容だった。ウェブ論ではなく、自己啓発書だった。タイトルにちゃんと「ウェブ時代をゆく-いかに働き、いかに学か」って書いてある。そう、“生き方”の本なのだ。
リアル世界で行き詰まっても、ウェブがある。ただ、発展途上の世界。まだどういう未来になってゆくのかわからない。それでも先人たちが示したいくつかの成功例をもとに、事例をあげながら“ウェブ時代の生き方”を提示してくれている。
なるほど。こういう道もあったか。こういう展開もあるのか。しかし、それはウェブ世界だけの話ではなく、リアル世界で生きてゆくためにも必要なことだったりもする。つまり、ウェブとリアルの混在した世界でどう生きるか。ウェブとリアルを行き来しながら自分らしい生き方をするにはどうしたらいいのか。
自分の未来を考える上で読んでおいて損はない本だと思う。
ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)
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