記者出身のキャスターという仕事◆『ニュースキャスター』大越 健介

NHKの夜9時の顔、「ニュースウォッチ9」のキャスターを務める大越健介さん。あまり熱心な視聴者ではなく、たまに見るくらい。同じ時間帯にやっているニュース番組がないので、この時間にテレビをつけるとつい見てしまう。

記者出身のキャスターということで、本書ではアナウンサーとの違いから説明があってなかなか面白い。子どもの頃から野球少年で、東大から初めて日本学生代表チームに選出されたというほどの実力。これが、記者としての体力や精神力などを培う土台となっているのだと思った。

番組がどのように作られているのかや、パートナーの井上あさひアナウンサーとのやりとりなど裏話的なエピソードも多くて楽しめる。

大越さんがキャスターになり立ての頃は、あまりパッとしないなぁなどと失礼なことを思っていたのだけど、最近はなんとなく垢抜けて、キャスターとしての華も出てきたような気がしていた。大震災を機に、記者としての原点に立ち返って現場を重視することにしたという。なるほど、肝が据わったということかと納得。記者出身のキャスターとして、立ち位置がはっきりしたんだと思う。

政治記者としての経験が長く、インタビューが好き。番組を見ているだけではわからないような、大越キャスターの人物像がわかって興味深い。

本書の後半は番組サイトで掲載中の大越キャスターのブログ記事。ニュースの表と裏、大越さんの視点、ちょっとおちゃめな人柄も透けて見える。これから見るニュースがもっと楽しめそうだ。

■大越健介の現代をみる(NHK)
http://www.nhk.or.jp/nw9-okoshi-blog/