そもそもの始まりから◆『あの戦争は何だったのか―大人のための歴史教科書』保阪 正康

学校の歴史の授業は、近代については駆け足で、結局、なぜ日本が戦争を始めたのかということがよくわからないままだった。「戦争は二度としてはいけない」という思いは多くの日本人が共有しているものだと思うのだけど、ではどうしたら戦争を防げるのか、というと、首をかしげてしまう。

では先の戦争はいったいどうして始まってしまったのか、というところから紐解かなければならない。「どうやって終わったのか」ということはよく語られるのだけど、「どうやって始まったのか」というとよくわからない。そこのところを、最初から丁寧に説明してくれるのが本書。当時の徴兵のしくみなども、知らないことばかりだった。

今の日本では、戦争についての評価が政治的な色合いを含んで、教える人によって様々な見方ができてしまう。だから、学校で詳しく教えることには抵抗があるのだろうとは思う。ではどういう本を読めばいいのかというと、それもまた悩ましいものなのだけど、本書は、前知識なしでも戦争の始まりから終わりまでの流れを知るにはよい1冊だと思う。ここからさらに、他の本を読んで知識を深めて行ければいいと思う。