2014年の本屋大賞受賞作。レビューでは一気に読めて面白いという感想が多くて、痛快なエンターテインメント小説っぽいなと思って読んでみた。
しかし、初読の著者だったので、文体に慣れるまでちょっととまどい。歴史小説なのだけど、途中途中で文献からの引用などがあって、立ち止まり、軽く読めるという感じではなかった。もう少し、物語に入り込んですらすらっと読めるもののほうが好み。
最初から登場人物が多く、しかもあまりよく知らない歴史上の人物達だったので、キャラクターを認識するのに四苦八苦。電子書籍だったので、前に戻って確認するのも手間取ったり。こういうときは紙の本のほうがいい。冒頭に掲載されている地図なども、紙の本のほうが簡単に参照できる。こういうところはデジタルのアプリの仕様の問題だと思うので、改善して欲しいものだ。
物語が進むにつれて、キャラクターを認識してしまうとだんだんと面白くなってきた。小説よりも映画やコミックのほうが、視覚で認識できるのでわかりやすそう。
そして、後半の戦いの場面になるとスピード感があって、ドキドキワクワクする展開。これまた、視覚的なメディアのほうが面白そう。んー。小説は小説ならではの表現で楽しいのがいいのだけど、「映画で見た方が面白そうだなぁ」と感じさせてしまうものってどうなんだろう、というのが率直な感想。つまり、映画の原作としてはいいよねーって感じがしてしまった。ノベライズに近いような。
村上海賊の姫ということで、胸キュンなサイドストーリーも少し期待していたのだけど、婿捜しというテーマはあるものの、キュンキュンするようなエピソードはなく、ちとがっかり。男目線なのかなぁ。映画にしたら、マッチョなイケメンがたくさん出せるので、きっと女子は萌えるのではないかという気はする。キュンキュンストーリーはなかったものの、いろんな種類の男性が出てくるので、自分の好みは誰かなぁと思いつつ読むのは楽しかった。うん、やっぱり映画化に期待だ。
(電子書籍で読了)