日本だけなぜ、がんで命を落とす人が増え続けるのか―消化器外科の権威がすすめる驚異の栄養・代謝療法
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健康関係、がん関係の本をいろいろ読んでみて(と言っても、出版されているもののごくごく一部だけど)、体に一番優しくて、副作用がなく、お金もあまりかからず、すぐに始めることができるのは「食」の改革だと思った。
代替療法の本はトンデモ本と紙一重ではあるのだけど、最近、食べ物でガンを治す、という本がいくつか出てきているし、「食」でガンが消える、というのはある程度は信用できると思う。
この本は長年ガン治療に携わってきたおそらく「まともな」お医者さん。一部の「奇跡的」な体験談を挙げるのではなく、きちんと統計的な臨床データを示して説明してあるところが信用できると思う。内容は、専門的でちょっと難しいところもあったけれど、要するに食事を改善すればガンは治る、治らなくても小さくなる、ということらしい。
完全に治らなくても、食事の改善で余命が伸びるのだったらそれは本人にとって嬉しいことではないかと思う。例えば、人生の最後の3ヶ月を抗がん剤治療で病院に縛り付けられ副作用に苦しみつつ過ごすよりは、多少不満があっても食事を改善して自宅で好きなことをしながら過ごす方がよい。少なくとも私の場合はそうだ。
2人の祖母の死を見てきた。母方の祖母は亡くなる直前まである程度ものを食べていて、亡くなったときも顔色がとてもよかった。父方の祖母は、亡くなる前は長期間にわたって食べ物が口から摂取できない状態で、栄養チューブで延命されていた状態だった。それでも少しでも長く生きて欲しいという家族の願いが届いたのか、予想以上に長生きしてくれたけれど、やっぱり人は口から食べ物を摂取してこそ「生いている」ということではないかという疑問が常にあった。
この本では、ガンになってからの食事についてが主に書かれているけれど、そのまま、ガンの予防のための食事としても読める。ガン患者でなければ厳密にやらなくてもいいけれど、ある程度この本に書かれたような食事内容にすることを心がけることで、ガンは防げるのではないかと思う。
四つ足動物の肉は厳禁。玄米、菜食。水分を多く摂る。乳製品を摂る。などなど。
人間も動物だと考えれば、チョコレートやお菓子などは不必要なもの。シンプルに、生きるために必要なものを最低限に摂っていれば、成人病やガンなどは防げるような気がする。
医療の現場で多くの患者さんを見てきた著者は、「肉を多く食べる人がガンになっている」ということを「発見」し、食事によってガンを撃退した患者さんが複数いることに着目。食事とガンの関係を調べたことがきっかけ。
多くの医者は、患者さんを診るのではなく、病気を診ている。だから、治った患者さんは病院の治療で治り、治らない患者さんは薬が効かなかったのだと思っているのかも。実は、多くのガン患者は恐らく自己流に代替療法を試しているはずで、薬の効きがいいのもその療法のおかげかもしれないのだ。
私も多発性筋炎(膠原病)で長く病院に通っているけれど、ある程度体調を維持できているのは漢方と鍼灸のおかげだと思っている。だけど、大学病院の医師は、初診のときに自己申告しているのにもかかわらず、東洋医学の治療についてはほとんど聞いてこない。ある医師は「漢方は効くというデータがないんですよ」と否定的。データがないから効かない、ということにはならないと思うのだが。
つまり、病院の医師というのは、患者さんの病気とその検査データ、という一部分しか診ていない。患者さんが普段どんな食生活をして、どんな仕事をして、どんな日常生活を送っているのか、知っている医師はほとんどいないのではないかと思う。医師にとっての「治療」とは、薬を使って病気を撃退することなのだ。
食事の改善指導などしないから、抗がん剤治療が終わって退院したあとに再発する患者さんが多いのではないか。そもそも、食事を改善すれば、抗がん剤治療もいらないのではないかとも思う。
著者は古今東西のさまざまな食餌療法について調べたようで、多くの資料を挙げて説明されている。以前、読んだことのある星野仁彦医師の星野式ゲルソン療法についても触れられていた。星野式ゲルソン療法には共感はしたのだけど、かなり厳密でガンではない人が普段から取り入れるにはちょっと厳しすぎると感じた。だが、この本ではさまざまな例を挙げながらいろいろな食餌療法の共通点や違いについて説明されているので、自分なりに応用できる点がよい。
体調が悪い、悪いと言いながらおかしや肉、脂っこいものをたくさん食べていてはいつまで経っても健康にはなれない。まずは毎日の食生活から改革してみようと思う。
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