名インタビュアーと言われる方や、人とのコミュニケーション力の高い方がよく言われるのが、「自分の話をするよりも相手の話をよく聞く」「用意してきた質問ではなく、その場の雰囲気や相手のとのやりとりを大切にする」ということ。阿川さんも、同じようなことを語っておられる。
数々のコツが載っているけれど、「これ、阿川さんのキャラクターだからできるんであって、誰にでも当てはまるってわけじゃないよね」ってことも。でも、相手の懐に飛び込むという姿勢は参考になる。分からないことは分からないときちんと聞くとか、相づちを打つとか。
基本的には誰にでもできることだし、別に特別なことを言っているわけではないのだけど、案外、こういう基本ができてない場合ば多くて、コミュニケーションに困っている人が読むと「ああそうか」となるのだと思う。それと、阿川さんは徹底して下から目線。上からこうしろああしろと言われる感じはなくて、同じように初対面の人と会うのを怖がっていて、同じように不安だというところに親近感がわく。
阿川さんのように無邪気に質問されれば、ついつい相手も心を開いて答えてしまうだろうと思うのだけど、果たして、自分にできるかというと、そう簡単ではない。阿川さんはすごく勉強しているんだろうし、なんにでも本心から興味津々なんだろうと思う。そういう性格がよくわかるから、相手もゆったりとした気分でついついいろんなことを話してしまうのかもしれない。
そういえば、この本のタイトルは「聞き出す力」ではなくて「聞く力」。自分の聞きたいことを相手にしゃべらせる分けではなくて、相手の話したいことを素直に「聞く」力なのだ。